分子蒸留装置は、通常の蒸留法では難しい高真空下の蒸留に使用します。熱的に不安定な物質、高沸点の物質を数10～10-1Paの範囲内で蒸留するのに適しています。液体または固体では常にその分子が蒸発しているので、これら分子の平均自由行程以内に冷却器を置けば、加熱面から飛び出した分子をほかの分子に衝突させずに冷却器面で捕えることができます。一般の蒸留とは異なり、蒸発は物質の表面だけから起こるので、留出量は表面の広さに比例します。またこのときは気相液相間に平衡は存在せず、各分子の蒸発速度は、蒸気圧をその分子の分子量の平方根で割ったものに比例します。P1／√M1×√M2／P2P1、P2＝成分の各々の分圧M1、M2＝成分の各々の分子量

【特徴】
●回転薄膜式の採用により蒸留はきわめて効果的です。
●短時間に真空度2×10-2Paに到達します。
●試料受フラスコの切り替えが簡単にできます。
●洗浄が容易です。
●グリスフリー仕様ですので、サンプルへの汚染がありません。

【用途】
グリセリンの乾燥蒸留、ワックスの蒸留、脂肪酸の蒸留、薬物の純化、石油生成物の蒸留、原油各成分の分留、香料や香水の単離、そのほか有機合成物の乾燥、脱水、溶液中の固定の濃縮、油の脱臭、高分子量物質から色素体の脱色などに応用されます。